妻マルトと考えられる人物を、水、肌、浴槽の色で描く。
何が描かれているか
裸の女性が浴槽に横たわり、明るい縁に沿って体を伸ばしています。水の色、肌の色、浴室の壁や床が近くに集まり、体の境目がすべて同じ強さで見えるわけではありません。《浴槽》は、ボナールが繰り返し描いた入浴の主題を理解する一枚です。人物は妻マルトと考えられますが、所蔵記録に沿って、その同定には留保を残します。
作品の見どころ
体の形を追った後、浴槽の中と外の色を比べてみましょう。水は透明な空白として扱われず、肌や光を受け止める色の面になります。浴槽の縁も、部屋を区切る硬い線と、体を囲む柔らかな形の両方に見えます。女性が若く見えても、描かれた姿をモデルの当時の年齢とそのまま結びつけることはできません。絵として組み立てられた姿を見る必要があります。
制作背景
カンヴァスに油彩で描かれ、テートに所蔵されています。1925年に画商ベルネーム=ジュヌが購入し、のちにコンテンポラリー・アート・ソサエティを通じて1931年に寄贈されました。1936年の《浴槽の裸婦》や晩年の《浴槽の裸婦と小犬》と見比べると、同じ主題の中で、水と人物、周囲の色の関係が変わっていくことを確かめられます。
出典・画像について
画像:ピエール・ボナール《浴槽(入浴)》/Pierre Bonnard / Wikimedia Commons(平面作品の複製)
Commons個別ファイルのPublic domain表示に基づく忠実な平面複製。全景を保ちWebPへ縮小。国・地域によって扱いが異なります。
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