何が描かれているか
三つの画面に、人間と動物を組み合わせたような生き物、奇妙な建物、火の上がる街が描かれる。中央では、衣を着た聖アントニウスが多くの怪異に囲まれている。
左には空を飛ぶ生き物や、地上で身体を支えられる人物が見える。中央と右にも人や怪物が密集し、遠い風景から手前の小さな道具まで、多くの形が詰め込まれている。
作品の見どころ
初めは怪物を追うより、各画面にいる聖人を探してみたい。同じ人物の試練が複数の場面に広がるため、三つの画面をつなぐ手がかりになる。
次に、動物の身体と器や建物がどうつながっているかを見たい。意味を一つに決めて読み解く前に、見慣れた物の形が別の身体へ組み込まれる仕方を楽しむこともできる。
制作背景
主題は、キリスト教の修道者アントニウスが誘惑や悪魔に耐える物語である。三連祭壇画とは、中央と左右の翼を組み合わせた形式のこと。ここではリスボンにある作品の内側の全体を掲載する。
ポルトガルの公式所蔵記録は1505〜1506年とする。一般に1500年頃と紹介されることもあるが、ここでは所蔵館の記録を明示して採用する。厳密な完成年が一つに確定したとみなさず、資料にある年代の幅を残した。