何が描かれているか
聖クリストフォロスが、幼子キリストを背負い、長い杖をついて水を渡る。赤い衣が背中から広がり、足は水の中にある。背後には岩場と木、水辺の遠景が続く。
大きな聖人の肩の上に小さな幼児が乗り、人物の近くにも細かな生き物や建物が描かれている。中央の身体を見たあと周囲へ目を広げると、風景に隠れた小さな形が見つかる。
作品の見どころ
背中から杖へ、杖から水の中の足へと線を追ってみたい。身体の傾きと手足の位置をたどることで、人を運びながら進む動きが分かりやすくなる。
赤い衣の広がりと、背後の青緑の風景を見比べるのもよい。人物だけを切り離して眺めず、前景の水から遠くの土地へ目を移すと、大きな身体が広い景色の中に置かれていることが分かる。
制作背景
聖人伝では、渡し守のクリストフォロスが幼児を運ぶと、その重さは世界を背負うほどだったと語られる。ここでの幼児はキリストである。実際に起きた出来事の記録ではなく、伝承を描いた場面として紹介する。
所蔵館は1500年頃の油彩板絵として記録する。この作品には近年の修復記録もあるため、掲載画像と作品番号を照合した。大きな祭壇画とは違う、一人の聖人を中心にしたボスの画面を見る入口になる。