何が描かれているか
狭い寝室で男が寝台に起き上がり、扉から入る骸骨の死が矢を向ける。天使は窓の十字架を示し、悪魔は金袋を差し出す。
手前では同じ男と考えられる人物が箱へ金貨を入れる。武器や衣服も散らばり、過去の執着と現在の選択が一室に重なる。寝台を囲む斜めの光と身振りを追うと、男の注意が十字架と金袋のどちらへ向くかが焦点だと分かる。
作品の見どころ
死、天使、悪魔の三方向から男へ視線と身振りが集まる。最期の一瞬を、善悪の選択がまだ揺れている場面として見せる。
高い縦長画面は、失われた祭壇画の一部だった可能性がある。小さな場面を上へ積み、人生と死を時間順ではなく同時に見る。上の死の場面から下の金庫へ目を移すと、最期の判断と、それまでの金への執着が一本につながる。
制作背景
ナショナル・ギャラリー・オブ・アートは1485年から1490年頃、目録番号1952.5.33として所蔵する。画像はパブリックドメインで公開されている。
『往生術』と呼ばれる、キリスト教徒がよく死ぬための教えと関係づけられる。ただし失われた全体の構成は確定していない。元の全体が失われているため、現在の縦長画面だけから祭壇画の配置や物語の順序を断定しない。