何が描かれているか
聖ヨハネが岩場に座り、膝の本へ文字を書く。視線の先では、光に包まれた聖母子が三日月の上に現れる。
近くには鷲が立ち、画面下では奇妙な怪物がインク壺へ手を伸ばす。遠景には水辺の町と船が続く。聖人の身体がつくる斜線の先に幻があり、反対側の怪物は低い位置から執筆へ近づいている。
作品の見どころ
静かな聖人と小さな怪物を同じ画面に置き、啓示を書く行為のすぐそばへ妨害を忍び込ませる。
人物を大きく置きながら、遠景の細部を失わない。地上の風景、幻、怪物が別々の層として共存する。最初に大きな聖人と幻を見てから、鷲、怪物、遠景を探すと、静けさの中の小さな異変が際立つ。
制作背景
ベルリン絵画館が1647Aとして所蔵する。かつて祭壇画の翼だったと考えられ、裏面にもキリスト受難の場面が描かれる。
制作年代には幅があり、このサイトでは1485年から1495年頃とする。作品が属した祭壇画全体の姿は分からない。裏面を持つ翼画だったという性格を踏まえつつ、失われた中央部の主題や組合せは推測として区別する。