1495年頃
49〜50歳頃

アペレスの誹謗

画家 サンドロ・ボッティチェリ
Calunnia di Apelle (Calumny of Apelles) / ウフィツィ美術館(フィレンツェ)
豪華な建物の中で、無実の若者が「誹謗」という女性に引きずられていく。周囲の人物は、無知、疑い、欺き、後悔、真実など、目に見えない働きを人の姿にしたものだ。左から右へ事件を追うのではなく、右の王から中央の集団、左の真実へ視線を移すと関係が分かりやすい。

何が描かれているか

右の王は「無知」と「疑い」にささやかれ、「誹謗」が無実の若者を引きずる。左では黒衣の「後悔」が振り返り、裸の「真実」が天を指す。
特定の裁判の再現ではなく、誤った情報と判断の仕組みを人物に置き換えた寓意画である。誰が誰にささやき、つかむかを追うと流れが見える。

作品の見どころ

古代ギリシャの画家アペレスによる失われた絵を、著述家ルキアノスの文章から再構成した。原画を直接見て写した作品ではない。
文章で伝わった人物関係を、ルネサンスの建築と身体で新しい画面にした。中央の激しい群像と、左で孤立する真実が強い対照を作る。古代文化の復活は単純な複製ふくせいではなく、失われた作品を読み、解釈し、新しい視覚表現へ変える仕事でもあった。

制作背景

画家自身が誹謗を受けたために描いたという説明は、直接証明する資料がない。1490年代の社会的混乱と、個人的動機も分けて扱う。
縦62センチ、横91センチの板にテンペラで描かれた。バルトロメオ・ディ・ジョヴァンニの協力の可能性も指摘されるが、担当範囲は確定していない。
制作動機と協力者は可能性にとどまります
ボッティチェリ自身が誹謗を受けたために描いたという説と、建築装飾へのバルトロメオ・ディ・ジョヴァンニの参加は確定していません。

作品情報

寸法
62 × 91 cm
材質・技法
板にテンペラ
所蔵
ウフィツィ美術館(フィレンツェ)
目録
1890 n. 1496
典拠
ルキアノスが記した失われたアペレスの絵

出典・画像について

出典:ウフィツィ美術館 作品ページ2026-09-06 確認)
画像はWikimedia CommonsのPD-Art複製です。忠実複製の扱いには法域差があります。
画像:サンドロ・ボッティチェリアペレスの誹謗》/Sandro Botticelli, Calumny of Apelles, Uffizi. The Yorck Project, via Wikimedia Commons.
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0 / PD-Art(法域注意)(画像情報:2026-09-06 確認)
Wikimedia CommonsのPD-Art複製です。忠実複製とイタリア文化財制度の扱いには法域差があります。
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