何が描かれているか
赤い帽子と黒っぽい衣の青年が、両手で金色のメダルを持ち、こちらを見ています。背景には遠くへ続く水辺や木々が描かれています。青年が誰なのかは、確定していません。
メダルに横顔を刻まれているのは、フィレンツェの有力者コジモ・デ・メディチです。青年とメダルの人物は別人です。手元の小さな顔が、この絵の意味を考える入口になります。
作品の見どころ
胸の前に出された両手と丸いメダルが、見る人との間に近い距離を作ります。背景の風景はずっと小さく、青年の大きな顔や巻き毛、まっすぐな視線が、手前を占めています。
メダルは単に絵の具で描かれたものではなく、金箔を施した漆喰で作られています。人物や風景を描く平面の絵に、小さな立体が組み込まれ、目で見る手触りの違いも生まれています。
制作背景
所蔵館は1475年頃の制作としています。メダルは1465〜1469年のものをもとにしており、コジモを都市の父として称える政治的な意味を持つと説明されています。飾りだけではない持ち物です。
青年をボッティチェリ本人や特定の家族だと決めつけることはできません。視線とメダルから、都市の有力者の記憶を伝える仕組みを見てみましょう。