1499〜1500年頃
53〜55歳頃

ルクレティアの物語

画家 サンドロ・ボッティチェリ →
The Story of Lucretia / The Tragedy of Lucretia / イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館
建物で区切られた場面をたどると、私的な悲劇が広場へ広がります。

何が描かれているか

古代ローマのルクレティアの物語を、横長の一枚に複数の場面として描いています。左右の建物には女性と男たちが、中央の広場には横たわる女性を囲む武装した人々が集まっています。
ひとつの瞬間を写すのではなく、異なる出来事を建築で区切る描き方です。見る人は左右の屋内と中央の広場を行き来し、身振りと集団の反応をつなげて読みます。

作品の見どころ

壁や柱、階段の線は奥へ向かって整然と伸びるのに、人々の身体は前後へ傾かしき、腕や武器が入り乱れます。整った舞台と落ち着かない動きの違いが、物語の緊張を強く感じさせます。
中央の人物が高く立ち上がることで、周囲の集団の視線もそこへ集まります。誰が呼びかけ、誰が応じているように見えるかを追うと、集団の中の力の流れが見えてきます。

制作背景

所蔵館の2019年の展覧会資料は、制作を1499〜1500年、材質を板にテンペラと油彩ゆさいとしています。晩年のボッティチェリが、古代の逸話いつわを通して政治や道徳の問題を語った作品として紹介しています。
伝説を、出来事の正確な記録と見る必要はありません。画家は過去の話を当時の人々が読む物語へ作り替えています。《春》の人物配置と比べると、晩年の語り口の違いも分かります。
年代・技法の根拠
年代と技法は、所蔵館の2019年の展覧会出品リストと公式資料に基づいています。1499〜1500年という制作時期は推定のため、1499〜1500年頃と記載しています。

作品情報

材質・技法
板にテンペラと油彩
所蔵
イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館
目録番号
P16e20
位置づけ
古代の物語をいくつもの場面へ分けた晩年の世俗画。

出典・画像について

画像:Sandro Botticelli《ルクレティアの物語》/ルクレティアの物語 — Sandro Botticelli / Wikimedia Commons
Commonsの個別Public Domain表示の忠実複製。複製の扱いは国・地域で異なります。
間違いを見つけたら、教えてください →

実物を見に行く

まずは国内の美術館から。公式の展示情報を見ながら、行きたい場所を探せます。
国内の美術館を探す →
展示替え・貸出などで作品が展示されていない場合があります。訪問前に展示・開館日・入館方法をご確認ください。