何が描かれているか
牛の群れが、人々に追われて丘の道を進んでいます。茶色や白の牛が手前を横切り、その向こうに川のある広い谷が見えます。遠くには岩山がそびえ、上には重い雲が広がっています。
群れを一頭ずつ追うと、身体の色や向きが少しずつ違います。人と牛の列が斜めに続き、画面の中を歩いているような流れをつくっています。大きな木や近くの斜面が、遠い風景を囲んでいます。
作品の見どころ
注目したいのは、明るい牛と暗い雲の対照です。地面の黄土色や茶色と、谷の青緑が重なり、秋の空気を感じさせます。
所蔵館は、山の牧草地から群れを谷へ戻す秋の営みを描いたと説明しています。季節の変化は、木の色だけでなく、家畜と人の移動によっても示されます。日々の労働が風景の主題になっています。
制作背景
1565年の季節連作のうち、秋にあたる作品です。商人ヨンゲリンクの郊外の邸宅のために作られた連作は、もとは六点でした。現在は五点が残り、複数の所蔵先に分かれています。
同じ連作の《暗い日》や《雪中の狩人》と並べると、人々の仕事と天候の違いが見えてきます。特定の日の風景をそのまま写した記録と決めず、秋を一枚にまとめる構成として眺めたい作品です。