夜の場面は暗い色でまとめる。当時それが当たり前だった。ゴッホはそこに色をあふれさせ、しかも実際に夜のカフェの前に立って描いた。色は昼と夜とで違って見えるからである。空の星も適当ではない。後の天文学の調査により、描かれた星の並びが制作時期の夜空と一致することが分かっている。妹への手紙に「夜、その場で描くのがものすごく楽しい」とある。
何が描かれているか
夜の広場。ガス灯に照らされたカフェのテラスが黄色く光り、客が座っている。石畳の向こうには濃い青の空が広がり、星が出ている。
目を引くのは、日よけの下の暖かい黄・緑・橙と、星空の深い青との落差である。奥の家並みの濃い青が、その落差をさらに強めている。
作品の見どころ
夜の絵を、黒と灰色で描かない。ゴッホがやりたかったのはそれだった。当時、夜の場面は暗い色でまとめるのが当たり前で、色をあふれさせるという発想がそもそもなかった。この絵は、その常識をまっすぐ壊しにいっている。
しかも彼は、この絵を実際に夜のカフェの前で描いた。色は昼と夜とでは違って見えるからである。妹のウィルにはこう書き送っている。「夜、その場で描くのがものすごく楽しい」。翌年の《星月夜》も、この夜の実験の続きにある。
制作背景
1888年9月16日頃、35歳。アルルのフォロム広場に面したカフェを、夜そのままの場所で描いた。
ゴッホは前から夜の絵を描きたいと考えていた。ただし黒と灰色ではなく、色をたっぷり使って、という条件つきである。この絵はその条件を最初に満たした1枚になった。
いまオッテルローには無い
クレラー・ミュラー美術館によれば、この絵は日本での大きなゴッホ展に貸し出されており、館に戻るのは2026年9月である(2026年8月30日に館のページで確認)。貸出は入れ替わるので、見に行く前に館のページで確かめること。
出典・画像について
画像:フィンセント・ファン・ゴッホ《夜のカフェテラス》/Wikimedia Commons; Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands
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