何が描かれているか
洗礼者ヨハネが、白い布の下に毛皮の衣を着て立つ。肩にかかる杖の旗には赤い十字があり、背景には金色の模様が広がる。ヨハネは観る人と目を合わせず、画面の左下を静かに見つめる。毛皮は荒れた土地で暮らした聖人の姿に結びつき、白い布は洗礼を受けた人々と関係づけられる。十字の旗は復活を表すと、所蔵館は説明している。
作品の見どころ
まず背後の豪華な織物と、素朴な毛皮の衣を見比べたい。模様布の細かい金色の線に対し、顔や手の陰影はやわらかい。聖人の髪は一房ごとに動き、白い布の折り目にも厚みがある。金色の後光は頭を囲むが、視線は左へ向かうため、画面の外に誰かがいるようにも見える。豪華な背景と身体の質感を同じ小さな板の中に描き分けた点が見どころである。
制作背景
クリーブランド美術館は1410年頃の油彩板絵とし、もとは三連祭壇画の右側の板だった可能性を示す。ヨハネが中央の聖母子像を見ていたという説明も推定である。板の下端は後に切り詰められ、制作当初は全身像だったと考えられる。今見える構図を完成当初の全体と混同しないことが大切だ。所蔵館の画像はCC0で公開されている。
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