パンを囲む小さな手の動きと、暗がりの中の顔を見る。
何が描かれているか
食卓の中央にキリストがおり、左右の弟子がその姿を見つめている。後ろには宿の主人と年配の女性が立つ。パンを祝福する仕草をきっかけに、同行した人物が復活したキリストだと弟子たちが気づく場面だ。
机の上にはパンや器、布があり、人物は暗い室内に集まっている。遠くの風景を広げるのではなく、食卓の周囲だけを明るくすることで、気づきの瞬間が近くに感じられる。
作品の見どころ
1601年のロンドン版では弟子の腕が大きく広がるが、この絵の仕草は控えめだ。顔と手を順に追うと、大きな身振りがなくても、それぞれの驚きや注意が伝わってくる。
色もロンドン版に比べて抑えられている。光と影の差は強いが、全体には静かな印象がある。二枚を比べると、同じ物語を異なる間合いで表す方法が見えてくる。
制作背景
ブレラ絵画館の作品情報は1606年とし、解説では1605〜1606年の制作を示す。ローマを逃れた後のパリアーノで描いた可能性があるが、制作場所は確定として扱わない。
この作品は1939年にブレラ絵画館へ入った。題名が同じでも、先に描かれたロンドン版とは別の絵だ。華やかな果物や大きな動作から、少ない物と抑えた仕草へ変わる構成を見比べたい。
資料の留保
所蔵館の作品情報は1606年、解説は1605〜1606年。ここでは作品情報を採用し、この幅も記す。パリアーノでの制作は推定。既存掲載のロンドン版(1601年)と区別する。
作品情報
位置づけ
同じ主題のロンドン版と比較し、後期の表現の変化を見る。
出典・画像について
画像:Caravaggio《エマオの晩餐(ブレラ版)》/エマオの晩餐(ブレラ版) — Caravaggio / Wikimedia Commons
CommonsのPublic Domain表示の忠実複製。 イタリア文化財制度と施設条件の扱いには法域差があり、施設の承認取得を示しません。
間違いを見つけたら、教えてください →実物を見に行く
まずは国内の美術館から。公式の展示情報を見ながら、行きたい場所を探せます。
国内の美術館を探す →展示替え・貸出などで作品が展示されていない場合があります。訪問前に展示・開館日・入館方法をご確認ください。
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。
この画家について本で読む
もっと知りたいカラヴァッジョ
宮下 規久朗 著 / 東京美術
劇的な明暗表現を生み出した背景と、波乱の生涯を作品とともにたどる入門書です。
楽天ブックスで見る →