聖トマスの不信
画家 カラヴァッジョ →The Incredulity of Saint Thomas / サンスーシ宮殿絵画館(ポツダム)
四人の顔から、キリストが導く手と傷口へ視線を下ろす。
何が描かれているか
復活したキリストが衣を開き、トマスの手を自分の脇腹の傷へ導いている。後ろの二人も頭を寄せ、その様子をのぞき込む。四人の顔と手が狭い範囲へ集まり、見ることと触れることが場面の中心になる。
題材は、復活をすぐには信じられなかった弟子トマスの物語。傷を確かめようとする場面を、遠くから眺める宗教的な出来事ではなく、目の前で起こる身体の動きとして描いている。
作品の見どころ
トマスの額のしわ、開いた目、少し前に出た顔が、注意を傷へ集中させる。後ろの二人も同じ方向へ視線を向けるため、鑑賞する側の目も、自然に中央の手へ引き寄せられる。
暗い背景には場所を説明する建物がない。光は顔、キリストの胸、指を明るくし、身体の重なりを浮かび上がらせる。衣の縫い目や粗い布も、身近な人物のような実感を支える。
制作背景
所蔵するプロイセン宮殿庭園財団は制作を1601年頃とする。掲載するのはポツダムのサンスーシ宮殿絵画館の作品で、同じ主題をもつ模写や別の帰属作品とは分けている。
トマスだけでなく、手を導くキリストの仕草も見たい。疑う人を見せると同時に、確かめる行為へ導く関係を描くことで、信仰の物語を顔、光、接触の表現へ組み立てている。
作品情報
位置づけ
近接した人物の手と視線から、信仰の物語を読む。
出典・画像について
画像:Caravaggio《聖トマスの不信》/聖トマスの不信 — Caravaggio / Wikimedia Commons
CommonsのPublic Domain表示の忠実複製。 複製の扱いは国・地域で異なります。
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