華やかな衣装の闘牛士が、煙草に火をつける。暗い背景と銀色の装飾を対比させた、スペイン滞在中の初期作。
何が描かれているか
黒い帽子と銀色の装飾がついた衣装の男性が、木の柵に肘を置き、口元の煙草へ火を近づける。手前には赤い布が垂れ、背景には闘牛場の観客も牛も描かれない。
題名は闘牛が終わった後を示すが、目の前にあるのは勝敗の場面ではなく、小さな身ぶりをする一人の姿である。男性の顔、重なる指、火を囲む手を順に追うと、何をしているのかが分かる。
作品の見どころ
衣装の肩や袖には、光を受ける飾りが細かな点と短い筆の跡で置かれている。暗い帽子や背景の広い面と比べると、その明るさが際立つ。赤い布も、顔とは別の場所へ目を引く。
シカゴ美術館は、顔を明暗で立体的に描く方法にスペインの画家ベラスケス、衣装を豊かな絵の具で描く方法にフランスの画家マネとのつながりを見ている。具体的な模写元があると断定する説明ではない。
制作背景
1873年、カサットがスペイン南部のセビーリャで制作した油彩。所蔵館は、1872〜1873年にイタリアとスペインに長く滞在して古い絵画を学んだ時期の作と記録する。
後年の母子像を先に思い浮かべると意外だが、この初期作では男性の衣装と手の動きが主題になる。画面にない闘牛の結果や人物の気持ちまで想像で補わず、描かれた身ぶりを見たい。
出典・画像について
画像:Mary Cassatt《闘牛の後》/After the Bullfight, 1873年 — Mary Cassatt / シカゴ美術館 / Wikimedia Commons
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