1878年
33〜34歳頃

桟敷席にて(ボストン版)

画家 メアリー・カサット →
In the Loge / ボストン美術館
双眼鏡で客席を見る女性と、彼女を見る奥の男性。劇場を舞台に、見る側と見られる側が交差する場面を描く。

何が描かれているか

黒い服の女性が桟敷席に座り、小さな双眼鏡を目に当てている。桟敷は、他の客席から区切られた席。女性の向こうには、曲線を描く金色の手すりと幾重もの客席が続く。
左上の奥にいる男性も双眼鏡を上げ、女性の方を見ている。彼女が向かいの席へ視線を送る一方で、別の人の視線が彼女へ届く。観客同士を見る動きが、舞台の外にもう一つの場面を作っている。

作品の見どころ

明るい手すりと女性の暗い衣服を比べると、前景の姿がはっきり浮かぶ。上げた肘と双眼鏡が横顔を囲む。膝の扇は、上半身の動きと対照的に横たわる。
ボストン美術館は、女性を人に見せる姿だけでなく、自分から周囲を見る人物として描いた点に注目する。まず女性の目線を追い、次に奥の男性を探すと、「見る」という行為そのものが主題だと理解しやすい。

制作背景

1878年作。所蔵館によれば、パリのコメディ・フランセーズ劇場での午後の観劇を描く。ボストンでの同年の展示名は《At the Français—A Sketch》だった。
既存の《桟敷席》は、ワシントンにある白い服の二人の女性の絵である。こちらは黒い服の女性を大きく描くボストン所蔵の油彩ゆさいで、題名が似ていても別の作品として見比べたい。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩
所蔵
ボストン美術館
目録番号
10.35
寸法
81.28 × 66.04 cm

出典・画像について

画像:Mary Cassatt《桟敷席にて(ボストン版)》/In the Loge, 1878年 — Mary Cassatt / ボストン美術館 / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-10-01 確認)
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