何が描かれているか
黒い服の女性が桟敷席に座り、小さな双眼鏡を目に当てている。桟敷は、他の客席から区切られた席。女性の向こうには、曲線を描く金色の手すりと幾重もの客席が続く。
左上の奥にいる男性も双眼鏡を上げ、女性の方を見ている。彼女が向かいの席へ視線を送る一方で、別の人の視線が彼女へ届く。観客同士を見る動きが、舞台の外にもう一つの場面を作っている。
作品の見どころ
明るい手すりと女性の暗い衣服を比べると、前景の姿がはっきり浮かぶ。上げた肘と双眼鏡が横顔を囲む。膝の扇は、上半身の動きと対照的に横たわる。
ボストン美術館は、女性を人に見せる姿だけでなく、自分から周囲を見る人物として描いた点に注目する。まず女性の目線を追い、次に奥の男性を探すと、「見る」という行為そのものが主題だと理解しやすい。
制作背景
1878年作。所蔵館によれば、パリのコメディ・フランセーズ劇場での午後の観劇を描く。ボストンでの同年の展示名は《At the Français—A Sketch》だった。
既存の《桟敷席》は、ワシントンにある白い服の二人の女性の絵である。こちらは黒い服の女性を大きく描くボストン所蔵の油彩で、題名が似ていても別の作品として見比べたい。
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。
この画家について本で読む
印象派に恋して―テーマから紐解く、光と色彩の魔法―
佐藤 晃子 著 / ナツメ社
印象派の基礎を一問一答と六つのテーマで学びながら、シスレー、モリゾ、カサットを含む画家たちの作品と人物像をたどる入門書です。
楽天ブックスで見る →