何が描かれているか
青い花模様の服を着た女性が机の前に座り、白い封筒を口元へ運んでいる。机には別の白い紙が置かれ、背後の壁紙にも緑の植物模様が繰り返される。手紙を書き終えた後の封をする動作として読める。
内容を示す文章や相手の姿は見えない。封筒を支える指、下を向く目、机の斜めの縁が、作業へ目を集める。手紙の内容を決めつけず、指先の動きに注目したい。
作品の見どころ
服の花模様は身体の丸みに沿って細かく変形するより、青い面の上に散る形として目立つ。壁紙の葉、服の花、机の濃い青が隣り合い、奥行きのある部屋と平らな模様が重なって見える。
銅版に線を刻むドライポイントと、濃淡のある面を刷るアクアチントを組み合わせている。細い輪郭と広い色面の差を追うと、筆で塗る油彩とは違う方法で人物を形にしたことが分かる。
制作背景
1890〜1891年の色刷り版画。シカゴ美術館は、日本の多色木版画に学んだ連作の一枚と説明する。カサットが使ったのは銅版の技法で、浮世絵の木版をそのまま使った作品ではない。
掲載するのは同館の目録番号1932.1282の刷りで、余白の書き込みも画像に残す。同じ題名には制作途中の黒一色の刷りもあり、色や模様を加える過程を見比べられる。
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