首へ腕を回す子どもを、母親が抱きとめる。紫の服、桃色と青の肌、緑の背景が重なる、晩年のパステル作品。
何が描かれているか
紫の服の母親が裸の子どもを抱き、子どもは母親の首へ腕を回している。母親の顔は横へ向き、子どもの顔は肩の向こうへ隠れる。二人の腕と身体が、近い距離で重なる構図である。
背景の緑には家具や部屋の細かな説明がない。服の紫、肌の桃色、その上に置かれた青い線が、抱き合う形を浮かび上がらせる。肌を作る、隣り合う色の違いを探してみたい。
作品の見どころ
顔や衣服には、混ぜ切らない短い線や斜めの線が重なっている。メトロポリタン美術館の修復担当者は、色の層の間から木炭の下描きが見えることにも注目する。輪郭をすべて整えなくても姿が伝わる描き方である。
パステルは粉の顔料を固めた棒状の画材。塗り残した隙間も作品に含まれる。同館の調査では、この紙はもともと青く、染料の変化で茶色に近くなったと説明される。今見える色を制作当時の色と完全に同じとは考えない。
制作背景
1914年、カサットが70歳になる年の作。カンヴァスに貼った紙にパステルで描いている。
同館には同年の別の《母と子》もある。こちらは29.100.50、縦67.6センチの作品である。蒸気を使った表面処理の可能性も研究されているものの、制作手順の記録は残らず、再現実験に基づく推定である。
出典・画像について
画像:Mary Cassatt《母と子(1914年)》/Mother and Child, 1914年 — Mary Cassatt / メトロポリタン美術館 / Wikimedia Commons
Open Access/CC0。作品外の額縁のみ除き、撮影で見える画面全体を保持して長辺2200pxに等比縮小。
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