何が描かれているか
乗合馬車の長い座席に、二人の女性と幼い子どもがいる。左の女性は大きな帽子をかぶり、右の女性は子どもを膝に抱く。窓の外には橋の欄干や遠くの建物が見える。
乗合馬車は、複数の人を乗せて街を走る、馬が引く車である。子どもを抱く女性と左の女性の間には少し間隔があり、こちらから見える車内は三人に絞られている。
作品の見どころ
窓枠、座席、窓の上の横線が、画面を帯状に分ける。その前に茶色と桃色の衣服が縦長の形として並び、中央の明るい子どもが二人をつなぐ。強い陰影より、輪郭と色のまとまりが姿を伝えている。
銅版に細い線を刻むドライポイントと、面の濃淡を刷るアクアチントを使った多色版画。窓の外の淡い景色と、車内の青い座席を比べると、少ない色でも内と外を分けられることが分かる。
制作背景
1890〜1891年に制作された、日常の女性を描く10点の色刷り版画連作に属する。メトロポリタン美術館は、1891年のカサットの最初の個展に連作が出たと説明する。
掲載画像はシカゴ美術館の1932.1289の刷りである。同じ図柄でも途中の刷りや別の所蔵館の刷りがあり、色や線の状態には違いがある。紙の余白と下部の書き込みも、一枚の版画の一部である。
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