リンゴと桃のある静物
画家 ポール・セザンヌ →Still Life with Apples and Peaches / ナショナル・ギャラリー・オブ・アート(ワシントン)
リンゴ、桃、水差し、布を、物ごとに少し違う角度から見たように組み合わせた。傾く卓面は失敗ではなく、目を動かして見る経験を一枚へ集めた結果として読める。
何が描かれているか
柄のある布と白布の前に、水差し、鉢、皿、リンゴと桃が置かれる。
卓の前縁は右下がりに傾き、水差しの口は横から見ているのに内部まで見える。
作品の見どころ
一つの固定した位置から見た形にそろえず、物ごとに少し違う角度を重ねている。そのため卓は傾いて見えるが、果物、水差し、布の形は画面全体で釣り合う。
単なる描き間違いとして片づけない。最初に水差しと果物を見て、次に柄布、白布、右下がりの卓の縁へ視線を移す。水差しの口や器は同じ高さから見た形にそろわず、物ごとに角度が少し違う。そのずれを描き間違いと片づけず、丸い果物、縦長の器、折れる布が全体でどう安定するかを比べたい。近くと遠くで見え方を往復するとよい。果物の赤や黄が白布の上で繰り返される位置にも注目すると、傾く卓上の均衡が分かりやすい。
制作背景
1905年頃の晩年作である。卓、柄布、水差しは画家がアトリエに持ち、複数作品で配置を変えて描いた小道具だった。
カンヴァスに油彩で、ナショナル・ギャラリー・オブ・アート所蔵。
出典・画像について
画像:Paul Cézanne《リンゴと桃のある静物》/Paul Cézanne, Still Life with Apples and Peaches, National Gallery of Art, CC0.
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