青い帽子の叔父ドミニク
画家 ポール・セザンヌ →Antoine Dominique Sauveur Aubert (born 1817), the Artist’s Uncle / メトロポリタン美術館(ニューヨーク)
白い上着と暗い胸元の対比から、初期の厚い絵具の置き方を見てみましょう。
何が描かれているか
明るい上着を着た男性が、青みのある帽子をかぶって座っています。モデルはセザンヌの母方の叔父ドミニク・オーベールです。胸の黒い部分と赤い襟元が、白い衣服に挟まれて目を引きます。
背景は灰色がかった壁だけで、部屋の細かな説明はほとんどありません。大きな身体のかたまりと顔の向きに視線が集まり、衣装を変えて座る身近な人物が、絵の中心を占めています。
作品の見どころ
注目したいのは、顔や上着に残る絵具の厚みです。セザンヌはパレットナイフという、絵具を扱うへらで色を直接置きました。なめらかな肌の再現より、重なった絵具の手触りが見えてきます。
頬の明るい面と、眉や口ひげの暗い線を比べてみてください。少ない色の切り替わりが、鼻や目の位置を支えています。白い上着も一色ではなく、黄や灰色の跡によって厚みが変わります。
制作背景
1866年秋、セザンヌは叔父をさまざまな衣装で繰り返し描きました。これはその一作で、叔父の普段の服装をそのまま記録した肖像と考える必要はありません。
後年の整った静物や風景と比べると、若い時期の力強い絵具の置き方がよく分かります。人物の性格を決めつけず、まず表面に残る制作の跡をたどれる作品です。
出典・画像について
画像:Paul Cézanne《青い帽子の叔父ドミニク》/青い帽子の叔父ドミニク — Paul Cézanne / The Metropolitan Museum of Art
The Metropolitan Museum of Artの公式CC0画像。
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