何が描かれているか
トロイアから旅を続けるアイネイアスが、父や息子たちとデロス島に着く。オレンジ色の衣の人物がアイネイアスで、白い衣のデロス王アニオスが中央の木を指している。木は太陽神アポロンに関わるオリーブとヤシである。奥には丸屋根の神殿が建ち、人物の会話は広い建築と風景の一部として描かれる。
作品の見どころ
中央の二本の木を探してから、神殿へ視線を進めると、王の身振りが景色の説明になっていると分かる。神殿の形にはローマのパンテオンが取り入れられた。ロランは物語の舞台であるデロス島を正確に再現するのではなく、古代ローマを思わせる建物と想像の風景を合わせている。登場人物よりも場所が大きく、旅の一場面に静かな重みを与える。
制作背景
ロンドン・ナショナル・ギャラリーは1672年の作とし、晩年にロランが描いたアイネイアスの物語の連作的な作品群の最初に位置づける。題材はウェルギリウスの《アエネイス》とオウィディウスの《変身物語》に関わる。かつて失われた祖国を離れた一行が、新しい土地で神意を尋ねる場面である。画家の古典への関心が、壮大な風景の中に残る。