1681~1682年
70代後半頃

シルウィアの鹿を射るアスカニウス

画家 クロード・ロラン →
Landscape with Ascanius Shooting the Stag of Sylvia / アシュモレアン美術館
一矢が戦争の始まりになる直前を、嵐の風景で描く。

何が描かれているか

アイネイアスの息子アスカニウスが狩りをし、川辺の鹿へ矢を放つ。鹿はシルウィアが大切にしていた飼い鹿で、この傷が争いを引き起こす。物語では復讐の女神アレクトが事件を仕組むが、その姿は絵に現れない。代わりに左の木を曲げる風や暗い雲が、平穏が破れる気配を伝える。矢が届く前の短い時間が描かれている。

作品の見どころ

矢の向きと鹿の位置を確かめた後、画面の左の木と空を見てみよう。静かな遠景と荒れ始めた近くの空が対照的で、物語の結末を知らなくても不安を感じる。大きな風景はただ美しいだけではなく、これから起こる戦いを予感させる。人物や鹿が小さいからこそ、土地全体が出来事の証人のように見える。

制作背景

アシュモレアン美術館は1681~1682年の本作をロラン最後の絵画と説明する。注文主はロレンツォ・オノフリオ・コロンナで、絵の柱は彼の家名を思わせるともいう。題材はウェルギリウスの《アエネイス》に基づく。若い頃から続けたローマ郊外の自然観察が、晩年には平和から戦争へ変わる一瞬を描くために使われた。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
アシュモレアン美術館(WA1926.1)

出典・画像について

出典:アシュモレアン美術館 作品記録(2026-09-26 確認)
画像:Claude Lorrain《シルウィアの鹿を射るアスカニウス》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-26 確認)
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