1645~1646年
40代前半頃

パリスの審判

画家 クロード・ロラン →
The Judgment of Paris / ワシントン・ナショナル・ギャラリー
三女神を選ぶ神話の人物を、広大な風景の一角に置く。

何が描かれているか

羊飼いのパリスが、三人の女神のうち誰が最も美しいかを選ぶギリシア神話の場面である。女神たちはそれぞれ褒美を約束たばし、パリスは愛の女神ヴィーナスを選ぶ。その選択はのちのトロイア戦争につながる。画面では人物の集まりは左下に小さく置かれ、木々、川、山が広がる。重大な決断を描きながら、景色の静けさも強く印象に残る。

作品の見どころ

パリスたちを見つけたら、右手前の木から中央の森、曲がる川、遠くの山へ視線を移したい。遠くへ行くほど輪郭りんかくと色が淡くなり、空気の厚みが感じられる。神話画なら中心になりそうな女神を画面の一角へ寄せたことで、物語と風景の関係が逆転する。ロランが何を見せたかったかを考えながら、人物と自然の大きさを比べてみよう。

制作背景

ワシントン・ナショナル・ギャラリーは制作を1645~1646年とする。同館はこの絵を、自然の観察をもとにしながら、光と空間を整えて理想的な世界へ変えた例として説明している。ローマで活動した同時代のプッサンも古典の題材を描いたが、ロランは人物より風景へ重心を移した。神話の緊張と穏やかな眺めが共存する。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
ワシントン・ナショナル・ギャラリー(1969.1.1)

出典・画像について

画像:Claude Lorrain《パリスの審判》/National Gallery of Art, Washington / CC0
画像の出典 / CC0 1.0(画像情報:2026-09-26 確認)
所蔵館提供のCC0画像。
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