1660〜1663年頃
50代後半頃

農作業をする人々のいるラツィオの風景

画家 クロード・ロラン →
Landscape in Latium with Farm Laborers / J・ポール・ゲティ美術館
近くの働く人々は濃い線、遠い山は淡い線。紙の余白と描き直しから、風景を観察し組み立てる仕事を見る。

何が描かれているか

イタリア中部のラツィオ地方を舞台に、畑を耕す人々と山並みを描いた素描そびょうである。手前では身体をかがめた人たちが道具を地面へ向け、そばには立った人物もいる。後ろには低い木々と幾重もの山が続く。
近くの人物や畑は褐色かっしょくのインクで濃く描かれ、遠景には淡い黒チョークの線が残る。色を一面に塗るのではなく、紙の明るさを生かして空や遠くの空気を見せている。

作品の見どころ

働く人々の並びから、その後ろの山の起伏へ目を移そう。身体が上下する列と山の輪郭りんかくが呼応する。手前の細かな線と遠くの柔らかな線の差が、同じ紙の上に距離をつくる。
左の山の上には、最初に描いた高い輪郭が薄く残る。館は、山を低く描き直して空を広くしたと説明する。仕上がった油彩ゆさいでは見えにくい構成の調整を、素描の線からたどれる。

制作背景

ゲティ美術館は1660〜1663年頃の作とし、描写の自由さから現地で描かれた可能性を指摘する。ただし、すべてを戸外で完成したとまでは断定しない。
ロランはローマ郊外で自然と光を観察し、工房で油彩画を組み立てた。この素描を《ラ・クレシェンツァの眺め》などと比べると、観察した土地と完成した風景の表し方を考えられる。特定の油彩の直接の下絵とはしない。

作品情報

材質・技法
紙にペンと褐色インク、褐色の淡彩、黒チョーク
寸法
22.4 × 36.2 cm(縦 × 横)
所蔵番号
91.GG.70

出典・画像について

画像:Claude Lorrain (Claude Gellée)《農作業をする人々のいるラツィオの風景》/Digital image courtesy of the J. Paul Getty Museum / Open Content / CC0 1.0
画像の出典 / CC0 1.0 / Getty Open Content(画像情報:2026-10-03 確認)
GettyのCC0公開画像を使用しています。提供画像の全範囲と紙の四辺を保ち、表示用に縮小しています。
間違いを見つけたら、教えてください →
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。

この画家について本で読む

クロード・ロラン 一七世紀ローマと理想風景画
小針 由紀隆 著 / 論創社
ローマでの自然観察から理想風景画の成立、神話や聖書の主題までをたどる専門書です。クロード・ロランの作品をさらに深く読みたい方に向いています。
楽天ブックスで見る →