何が描かれているか
木々や土地が影になった手前から、明るい地平線が遠くに見える。題名は《日の出》だが、太陽そのものだけを見せる絵ではない。人や建物は広い田園の一部となり、光が場所の表情を決める。ローマ近郊のカンパーニャに着想を得た風景で、手前の暗さと奥の明るさを行き来しながら眺めると、朝の空気が感じられる。
作品の見どころ
最初に目が向かうのは画面の奥の明るい帯である。そこへ至るまでに、影の中の木や道、遠ざかる土地が重なる。メトロポリタン美術館は、現在の手前と中景の色調は制作当時より暗くなっていると説明する。今見える明暗の差をそのまま作者の意図と決めつけず、地平線に残る光の表現に注目したい。
制作背景
同館は制作を1646~1647年の可能性とし、ロランの《真実の書》にもこの絵の記録があるとする。記録によると、ローマで制作され、フランスのリヨンの依頼者へ送られたが、名前は分からない。のちに英国の画家ジョシュア・レノルズの所蔵となった。風景を理想化して見る18世紀の人々にも、この朝の光は魅力的だったと考えられる。