1630年(原版)
20代半ば頃(原版制作時)

嵐(版画はんが)

画家 クロード・ロラン →
The Tempest (La Tempête) / ワシントン・ナショナル・ギャラリー
曲がる波と傾かしく船を、細かな線の重なりで描く。

何が描かれているか

港の海面が大きくうねり、奥の船は斜めに傾いている。手前の小舟には三人が乗り、岸には樽が転がる。左側の木々と塔は暗い線で埋まり、空にも細かな横線が走る。風景の中に、人と船が波に翻弄される場面が置かれている。
プリンストン大学美術館の同じ構図こうずの解説は、難破のあとに人々が舟を岸へ戻そうとする姿と読む。どの港かを決めつけず、大きな海と小さな人の関係から眺めたい。

作品の見どころ

最初に手前の波を追い、次に船のマストへ目を移そう。丸く巻く線と斜めに交差する線が重なり、水面も船も安定しないように見える。岸の樽の輪郭りんかくにも、波の曲線に似た丸みがある。
左の木陰は線が密で、右の空は比較的明るい。色を塗り分ける代わりに、線の量の違いが風景の距離や明暗を伝えている。

制作背景

1630年のエッチングである。エッチングは、酸で金属版に線を刻み、その溝に詰めたインクを紙へ刷る版画の技法をいう。
掲載品はワシントン・ナショナル・ギャラリーの所蔵品である。表示年は原版の制作年で、この紙が実際に刷られた年を確定するものではない。紙の縁と下端の銘まで残して掲載する。

作品情報

材質・技法
紙にエッチング
所蔵
ワシントン・ナショナル・ギャラリー(2019.128.1)
原版の制作年
1630年
版の状態(ステート)
Mannocci 6, IV A (of /B)/VII(館の目録表記)
掲載品の刷りの年代
確定しない

出典・画像について

画像:Claude Lorrain《嵐(版画)》/Courtesy National Gallery of Art, Washington
画像の出典 / CC0 1.0(画像情報:2026-10-02 確認)
提供画像の全範囲を保って縮小し、JPEGで保存。色補正・反転・修復・拡大なし。原版の制作年と、この紙が刷られた年は区別しています。
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