1643年頃
30代後半頃

船に火を放つトロイアの女たち

画家 クロード・ロラン →
The Trojan Women Setting Fire to Their Fleet / メトロポリタン美術館
長い放浪を終えたい女たちと、火を消す雨雲を描く。

何が描かれているか

トロイアを離れて長く旅を続けた女たちが、もう航海したくないと船へ火を放つ。海辺には燃える船と人々の動きがあり、奥の空には暗い雲が集まる。物語ではアイネイアスの願いを受けた神ユピテルが雨を降らせ、炎を消す。画面には火をつけた瞬間だけでなく、その先の嵐を思わせる空も描かれている。

作品の見どころ

人々や船の近くにある火と、遠くから近づく雨雲を見比べたい。火は人間の強い決意を示し、空はそれを変える出来事を予感させる。ロランは大勢の人物を画面いっぱいに描かず、海と空の広さを生かして物語を進める。明るい部分と暗い部分が同居するため、穏やかな港景とは違う緊張が生まれている。

制作背景

メトロポリタン美術館は1643年頃の作とし、注文主をジローラモ・ファルネーゼ枢機卿すうきけいと記している。題材はローマ建国の祖とされるアイネイアスの旅に関わる。ロランは古典の物語を風景画の中に取り込み、人物の行為と天候の変化を結びつけた。この作品では、彼が得意とする空の表現が、単なる背景ではなく物語を語る役を担う。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
メトロポリタン美術館(55.119)

出典・画像について

出典:メトロポリタン美術館 作品記録(2026-09-26 確認)
画像:Claude Lorrain《船に火を放つトロイアの女たち》/The Metropolitan Museum of Art / CC0
画像の出典 / CC0 1.0(画像情報:2026-09-26 確認)
所蔵館提供のCC0画像。
間違いを見つけたら、教えてください →
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。

この画家について本で読む

クロード・ロラン 一七世紀ローマと理想風景画
小針 由紀隆 著 / 論創社
ローマでの自然観察から理想風景画の成立、神話や聖書の主題までをたどる専門書です。クロード・ロランの作品をさらに深く読みたい方に向いています。
楽天ブックスで見る →