ハドリー城―嵐の夜の翌朝
画家 ジョン・コンスタブル →Hadleigh Castle, The Mouth of the Thames—Morning after a Stormy Night / イェール英国美術センター
崩れた城と荒れる空を向かい合わせ、時間と喪失を感じさせる晩年の風景。
何が描かれているか
崩れたハドリー城の二つの塔が、広いテムズ河口を見下ろす丘に残る。
羊飼いと動物が荒れた地面を進み、雲の切れ間から水面へ光が差す。二つの崩れた塔は丘の端に立ち、右手の広い河口へ視線が下っていく。小さな羊飼いと動物、地面に横たわる幹は、強い風を受ける荒れた場所の尺度を示す。
作品の見どころ
崩れた塔の縦線と斜めに流れる雲をぶつけ、風にさらされる場所の不安定さを強める。
茶色い地面と青灰色の空の間に細い光を置き、嵐の後の一時的な明るさを見せる。雲は左上から右へ斜めに流れ、地面の筆触も同じ方向へ引かれる。塔の垂直線がその動きに逆らうため、廃墟が崩れながらも残っている緊張が生まれている。
制作背景
1829年作。14世紀の城跡とテムズ河口を描き、ストゥア川の穏やかな風景とは異なるロマン主義的な廃墟の主題を選んだ。
妻マリアを亡くした直後の制作である。喪失との関係はしばしば指摘されるが、画面の意味を作者の感情だけに限定することはできない。妻の死後という時期は確認できても、荒天を画家の悲しみだけの象徴と断定しない。実在する城跡、河口の天候、ロマン主義的な廃墟表現が重なる作品として見る。
出典・画像について
画像:John Constable《ハドリー城―嵐の夜の翌朝》/ハドリー城―嵐の夜の翌朝 — John Constable / Wikimedia Commons
Public Domain表示の忠実な複製画像です。扱いは国・地域によって異なります。
間違いを見つけたら、教えてください →アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。
この画家について本で読む
コンスタブルの手紙 英国自然主義画家への追憶
C・R・レズリー 著/ジョナサン・メイン 編/斎藤 泰三 訳 / 彩流社
友人レズリーの伝記とコンスタブル自身の手紙から、故郷の風景を描き続けた制作と思考を詳しくたどれる一冊です。
楽天ブックスで見る →