何が描かれているか
左右から黒い木々が立ち、中央から右奥に白い空間が開く。題名は《待ち伏せ》だが、採用画像だけで誰がどこに潜んでいるかは特定しにくい。
縦長の小さな紙面に枝が詰め込まれている。黒く沈む部分も均一ではなく、細い白線や曲がる枝が残る。
作品の見どころ
広い黒と白の差が、今回の六点の中でも際立つ。暗い面は森を閉ざし、明るい面は奥への抜けを作る。
クリシェ・ヴェールではガラス版に作った図を感光紙へ移す。ここでは線が密集して面のように見える。色を重ねる油彩風景と並べると、線の濃さだけで森の重さと空間の開け方を変える試みが分かる。
制作背景
メトロポリタン美術館は1858年作のクリシェ・ヴェールとして登録する。所蔵番号は1991.1072で、原版と紙面の寸法はともに約21.9×15.9センチ。フランス語の題名はL’Embuscadeである。
《レンブラントの木こり》や《森の二人の旅人》と比べると、木立を舞台にしながら人物が見える度合いに差がある。制作年は図像の年代を示すため、現存する印画がその年に作られたとはこの記録だけでは言えない。