何が描かれているか
暗い岩場の向こうで町が燃え、空から火が降り注ぐ。画面の左では天使がロトと娘たちを導き、妻は後ろを振り返って塩の柱になっている。旧約聖書のソドム滅亡を題材にした風景画である。人物は大きく描かれず、逃げる道と燃える町の距離が出来事の規模を語る。右へ広がる荒れた土地が、家族の行く先の不安も感じさせる。
作品の見どころ
濃い褐色の大地に、炎の赤や空の光が差す。火そのものは小さくても、暗い周囲との対比で強く見える。逃げる人々をすぐに探すより、まず広い谷の奥行きと空の重さを見ると、災いが一つの家族だけでなく町全体に及ぶことが分かる。画面には古典的な歴史画の構成があり、コローが穏やかな水辺の画家だけではなかったことを示す。
制作背景
メトロポリタン美術館によると、最初の作品は1843年に制作され、1844年のサロンで展示された。その後コローは画布を大きく切り詰め、空と右側の景色を減らし、前景を暗い色で描き直した。現在の姿は1857年のサロンに再出品した状態に近い。題名や制作年を一つに決めてしまうと、この重要な改作の歴史が見えなくなる。