何が描かれているか
朝の森の開けた場所で、ニンフたちが輪になって踊る。大きな木々が画面の左右と上を囲み、その間から明るい空がのぞく。手前には暗い草地、奥には光を受けた空間が続く。神話の存在であるニンフを描きながら、舞台は人が歩いて入り込めそうな森として表される。踊る人々の小ささが、木々の広がりを際立たせる。
作品の見どころ
暗い葉のかたまりの隙間から、朝の光が地面に落ちる。白い衣と肌の明るさは、深い緑の中でリズムをつくる。人物だけを追わず、木の幹の縦線、枝の曲線、踊りの輪を順に見ると、自然と人の動きが結び付いていることが分かる。輪郭を細かく確定しない部分もあり、霧や光の中で見た一瞬の印象が画面を柔らかくしている。
制作背景
ルーヴル美術館の記録では、1851年に国が画家から購入し、現在はオルセー美術館へ長期貸与されている。ルーヴルの素描記録は、この作品が1850~1851年のサロンに《朝》という題で出されたと記す。現実の森を観察した成果と神話的な人物を同居させた、コローの中期を代表する試みである。戸外の習作と公開向けの大作をつなぐ作品としても見られる。