広い乾いた風景の手前で、ハガルが倒れた息子イシュマエルのそばにいる。
何が描かれているか
広い乾いた風景の手前で、ハガルが倒れた息子イシュマエルのそばにいる。空には助けを告げる天使が現れる。旧約聖書の物語をもとにした場面で、人物は大画面に対して小さい。母子の苦境を顔の表情だけで語るのではなく、日差しの強い荒野と水のない地面によって伝える。遠くの空間まで続く景色が、孤立した二人の姿を強める。
作品の見どころ
前景の木や岩から奥の平原へ目を動かすと、画面にはいくつもの距離が用意されている。明るい空の中の天使は小さいが、暗い地面と離れているため見つけやすい。母子の周囲は水の気配が薄く、空から来る救いを待つ時間が感じられる。大きな樹木の形はフォンテーヌブローで描いた樫の木の習作ともつながり、実景が物語の風景に変わっている。
制作背景
メトロポリタン美術館は1835年のサロン出品作と記録する。コローはフランスの田園で行った自然研究を土台に、聖書の舞台を組み立てた。現地で描いた風景をそのまま写した作品ではない。この時期の画家にとって、人物の行動や物語を支える大きな風景画は、公開の場で評価を得る重要な形式だった。戸外の小さな習作との違いも見ておきたい。
出典・画像について
画像:Jean-Baptiste-Camille Corot《荒野のハガル》/The Metropolitan Museum of Art / Open Access
The Met Open Accessの公開条件に基づき掲載。
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