1855年
59歳頃

オスティアの思い出

画家 カミーユ・コロー →
Souvenir of Ostia (Souvenir d’Ostie) / ワシントン・ナショナル・ギャラリー
木々の向こうに建物が見える。版の状態にも疑問符が付く、一枚の印画。

何が描かれているか

斜めの線で組まれた木々の向こうに、丸い屋根の建物がのぞく。建物は明るい空間へ独立して置かれず、枝や影越しに見える。
紙の端にはむらや小さな染みがある。図像だけを取り出さず、残った紙面も見ると、複製ふくせい可能なガラス版から一枚ずつ印画が生まれることが分かる。

作品の見どころ

線が密なところでは木陰が濃く、紙の明るさが残るところでは奥の建物が開けて見える。枝の輪郭りんかくを閉じた形で示すより、線の重なりで距離を作る。建物から手前の木へ、視線を何度か往復させたい。
技法はクリシェ・ヴェールだが、館は所蔵するこの紙面を「カウンタープルーフ」として分類する。通常の刷りと同一の工程だったとは言い切れない。

制作背景

館は制作年を1855年、所蔵番号を1967.18.11とする。デルテイユ目録57番の状態は「i?/ii」。第1状態との判断に疑問符が残り、全2状態のどちらかを確定していない。日本語の表記でもその留保を残す。
1855年という図像の制作年と、現存する一枚が刷られた時期は別の情報である。状態の疑問符やカウンタープルーフという登録も、この紙面に固有の記録として扱う。版画はんがを一つの画像に平らにならさず、残された紙の端まで眺めたい。

作品情報

材質・技法
クリシェ・ヴェール(カウンタープルーフ)
版の情報
カウンタープルーフ。第1状態の可能性/全2状態(Delteil 57)
所蔵
ワシントン・ナショナル・ギャラリー(1967.18.11)

出典・画像について

画像:Camille Corot《オスティアの思い出》/Courtesy National Gallery of Art, Washington
画像の出典 / CC0 / Public Domain(画像情報:2026-10-02 確認)
所蔵館公開画像。Courtesy National Gallery of Art, Washington。全紙面と四辺を保って縮小。
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