何が描かれているか
斜線を重ねた丘が中央を占め、右下に小さな騎馬の一行が現れる。丘の上には建物が並び、空にも線が広がる。人物の姿を一人ずつ詳しく描くより、移動する一行と高い町の距離を見せる構図である。
紙面は横長で、地面を走る斜線と空の軽い線が響き合う。森の中で人物を探す《小さな羊飼い》と違い、視線は右下の騎馬から丘の頂上へ上がる。
作品の見どころ
丘を横切る線の向きと濃さが場所によって変わる。騎馬を見つけてから町へ目を移すと、斜面の大きさがよく分かる。空を表す線は地面より軽く、同じ線の技法で場所ごとの性質を描き分けている。
この作品もクリシェ・ヴェール。ガラスに作った図が感光紙に写された。1850年代の森の作品と並べると、コローが後年にもこの方法で風景と人物を組み合わせていたことが分かる。
制作背景
館は1871年作、デルテイユ目録92番、唯一の状態と登録する。所蔵番号は1967.18.32。今回の六点で最も遅く、1853年の《レンブラントの木こり》から18年を隔てる。
「唯一の状態」は一枚しか刷られなかった意味ではなく、目録で区別された版の状態を示す。図像が作られた年と、この紙が印画された時期も別の情報である。