蔦のような冠を髪に付けた女性が、体をひねってこちらを見る。
何が描かれているか
蔦のような冠を髪に付けた女性が、体をひねってこちらを見る。片手には小さな花を持ち、もう一方の手は膝の近くに置かれる。題名のシビュラは古代の女予言者を指すが、画面は予言の場面を説明していない。人物の姿勢と視線そのものが主題である。服の白と赤、暗い背景の差が顔を引き立て、静かな立ち姿にわずかな動きを与える。
作品の見どころ
頭から首、肩へ続く曲線がなめらかで、顔は比較的はっきり描かれる。一方、手や腕には描きかけのような粗い筆の跡が残る。完成度の差を欠点と決めず、画家がどの形を大切にしたかを見る手がかりにできる。体を振り向かせる姿は、ルネサンスの肖像画を思わせる。花の小さな明るさも、人物の大きな色面の中で目を止める役割を持つ。
制作背景
メトロポリタン美術館は1870年頃の作品とする。X線調査から、当初は女性がチェロを弾く姿で、楽器や弓の位置を何度も変えた後、コローがそれらを塗り消したことが分かる。ポーズにはラファエロの《ビンド・アルトヴィーティの肖像》との関係が指摘される。現在の題名から最初の構想を逆算せず、制作中に主題や姿が変化した作品として見ることができる。
出典・画像について
画像:Jean-Baptiste-Camille Corot《シビュラ》/The Metropolitan Museum of Art / Open Access
The Met Open Accessの公開条件に基づき掲載。
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