何が描かれているか
暗い木立の中央をよく見ると、馬上の人と歩く人がいる。枝と幹の中に人物が沈み込むため、鑑賞する人も道を探すように視線を動かす。
上下左右には明るい紙の縁があり、その内側に褐色の図像が収まる。カンヴァスに色を塗った風景ではなく、ガラス版を介してつくられた紙の印画である。
作品の見どころ
暗い幹の脇には明るい抜けがある。歩く人と馬上の人の輪郭は強く切り出されず、木々の間で見え隠れする。画面の奥へ続く動きは、線の間をたどることで感じられる。
クリシェ・ヴェールでは、ガラスに作った図を光で感光紙へ移す。ただし画像だけから、濃淡のどこまでがガラス版によるものか、現存する刷りの状態によるものかは決められない。
制作背景
メトロポリタン美術館は1854年作、二つある状態のうち第2状態と登録する。記録には刷り手L・グランギヨームの名もある。コローの図と、紙へ像を定着させる作業には別々の担い手がいたことが分かる。
所蔵番号は1991.1033。館は断裁後の紙面を約14.6×18.7センチと記す。第2状態は「二枚目の刷り」という意味ではない。版の図が変わった段階を示すため、1854年という制作年をそのままこの紙の印画年とは読まない。