1869年・1870年
73歳頃

読書する女

画家 カミーユ・コロー →
A Woman Reading / メトロポリタン美術館
屋外に座る女性が、本を開いて静かに読んでいる。

何が描かれているか

屋外に座る女性が、本を開いて静かに読んでいる。背後には木々と空があり、人物は自然の中で一人の時間を過ごす。誰の本か、どんな文章を読んでいるかは描かれない。うつむいた顔と手元の本だけで、行為が分かる。神話や聖書の人物を風景の中に置いた初期作品とは異なり、ここでは目の前にいる人の日常的な仕草そのものが主題になる。

作品の見どころ

白い衣と青い袖そでが、土や木のくすんだ色の中で目を引く。女性の輪郭りんかくは厳密な線で囲まれず、周囲の空気と接する部分が柔らかい。大きな木の下の陰と、遠方の明るい空を見比べると、読書する人が静かな場所に守られているように感じる。視線を本から上げない姿は、鑑賞者に物語の続きを想像させるが、画面は答えを示さない。

制作背景

メトロポリタン美術館によれば、コローは1869年のサロンにこの作品を出した。人物習作しゅうさくを公開することは当時の彼には珍しく、批評家ゴーティエは色彩を評価しつつ人体の描写を批判した。画家はその後、人物をそのままに風景部分を描き直したとされる。現在の画面には1869年の出品時とその後の手直しが重なっており、単一年の完成作と単純化しない。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
メトロポリタン美術館(28.90)

出典・画像について

出典:メトロポリタン美術館 作品記録(2026-09-26 確認)
画像:Jean-Baptiste-Camille Corot《読書する女》/The Metropolitan Museum of Art / Open Access
画像の出典 / CC0 / Open Access(画像情報:2026-09-26 確認)
The Met Open Accessの公開条件に基づき掲載。
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