黒い雲の中に、顔と手が現れます。空気を体へ変える、ユピテルの神話画です。
何が描かれているか
座ったイオを、黒い雲が包み込んでいます。よく見ると、その雲の中に顔と手が現れています。相手はユピテル。イオに近づくため、神が雲の姿を取ったという神話を描いた絵です。人間の肌と、つかむことのできない空気が、触れ合う形になっています。
作品の見どころ
明るい背中の輪郭ははっきりしていますが、雲の顔は暗い空気から少しだけ浮かび上がります。体を柔らかく描く力が、ここでは実体のないものを体に変える仕掛けにもなっています。どこまでが雲で、どこからが神の姿なのか。境目を探すことが、そのまま絵を見る楽しみになります。
制作背景
《ガニュメデスの略奪》と対をなす作品で、フェデリーコ2世ゴンザーガのためのユピテルの物語の連作に数えられます。神話ではイオが逃れようとした際、ユピテルが霧で行く手を遮ります。柔らかな描写だけを見て、対等な恋人同士の場面と決めつけないことも必要です。
出典・画像について
画像:Antonio Allegri (Correggio)《ユピテルとイオ》/ユピテルとイオ — Antonio Allegri (Correggio) / Wikimedia Commons / Public Domain Mark 1.0
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