レマン湖畔の城と山並みを描いた晩年作。スイスでの制作に、風景写真も手がかりとして用いた。
何が描かれているか
湖の岸に城が立ち、屋根や塔が明るい空を背に浮かび上がる。左の岩場から建物へ岸が続き、右側にはレマン湖の水面が広がる。奥には山並みが重なり、遠くの頂には明るい雪が見える。城の姿は水にも映る。建物だけを正面から説明するのではなく、手前の岸、湖、山、空という異なる距離を一つの画面に収めている。
作品の見どころ
まず城の硬い輪郭を見て、それから水面の揺らぐ反射を比べたい。岸の茶色や灰色に対し、湖と山には青が広がる。近い岩は形を細かく見せ、遠い山は淡く重なる。城の塔が空へ伸びることで、横に広い風景にも縦の動きが生まれる。身近な谷の岩や小川を描いた作品と比べると、眺めの広がりや見せる距離の違いが分かる。
制作背景
1874年作。クールベは1873年からスイスで暮らし、晩年にシヨン城を繰り返し描いた。所蔵館の解説によると、この作品にはブラウン社の販売した写真を用いている。眼前の景色をその場で見て描いただけの作品とは区別したい。借金を抱えた画家が、旅行者にも親しまれる景観を制作したという事情も、同館は紹介している。
出典・画像について
画像:ギュスターヴ・クールベ《シヨン城》/JGS25 / Wikimedia Commons
Commons個別ファイルのPublic domain表示に基づく忠実な平面複製。
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