1861年
41〜42歳頃

春の発情期(鹿の闘争)

画家 ギュスターヴ・クールベ →
Le Rut du printemps. Combat de cerfs / オルセー美術館
角を突き合わせる鹿を巨大な画面へ描く。題名の春と、鹿の実際の発情期は同じではない。

何が描かれているか

森の中で二頭の雄鹿が角を突き合わせている。身体を低くした姿や踏ん張る脚が、衝突の力を示す。右側にはもう一頭の鹿が立つ。地面、木の幹、奥の葉は茶色や深い緑に包まれ、鹿の姿もその色の中へ溶け込む。人間のいない森で起きる動物の争いが、横幅五メートルを超える大画面の中心になっている。

作品の見どころ

二頭の角と、背中から脚へ続く線を追ってみたい。明るい背景へ切り抜いた動物ではなく、森の暗さの中で身体の重なりを見せる。近くの幹と奥の葉の間に鹿が置かれ、闘争は風景と切り離されない。人間の英雄が戦う歴史画を思わせる規模でも、主役は動物である。森の中の小さな出来事を、大きく感じさせる構図こうずに注目できる。

制作背景

1861年作。クールベはドイツで観察した鹿の争いを制作に生かしたと手紙に記している。一方、オルセーは、題名にある春は鹿の実際の発情期に一致しないと指摘する。作品をそのまま自然の記録写真と考えるのは適切ではない。観察した動物の姿と、画家が選び組み合わせた風景が重なる、構成された自然の絵である。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
オルセー美術館
目録番号
RF 326

出典・画像について

出典:オルセー美術館 作品・解説記録(2026-09-29 確認)
画像:ギュスターヴ・クールベ《春の発情期(鹿の闘争)》/Gustave Courbet / Wikimedia Commons(平面作品の複製)
Commons個別ファイルのPublic domain表示に基づく忠実な平面複製。
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