一本の樫を、肖像のように大きく描く。太い幹と広がる枝が、故郷の風景を力強い存在に変える。
何が描かれているか
一本の大きな樫が、草地のほぼ中央に立つ。太い幹から枝が左右へ広がり、葉のまとまりが画面の上部を覆う。奥にはほかの木々や明るい空が見え、手前の草には光と影が入り交じる。遠くの風景を順に案内する構図ではなく、すぐ近くの樹木へ目を向ける。幹の表面や枝の重さが、一本の木の存在を際立たせている。
作品の見どころ
まず幹を見て、それから枝の広がりをたどりたい。細い枝と小さな葉の集まりが、どっしりとした幹の上に重なる。明るい空の部分と葉の暗い部分が、木の輪郭を複雑にする。人の肖像のように中央へ置かれた木は、背景の脇役ではない。草や木肌の色を比べると、自然を形だけでなく、手触りを思わせる表面として描く点が見えてくる。
制作背景
1864年に故郷フランシュ=コンテのフラジェの樫を描いた。1867年には、古代ガリアの指導者ウェルキンゲトリクスと結び付けた長い題名でも紹介された。ただし、その名付けは木が古代の出来事を証明するという意味ではない。身近な自然に土地の歴史や意味を重ねた例として、純粋な風景の観察と題名の働きを分けて考えられる。
出典・画像について
画像:ギュスターヴ・クールベ《フラジェの樫》/Gustave Courbet / Wikimedia Commons(平面作品の複製)
Commons個別ファイルのPublic domain表示に基づく忠実な平面複製。
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