顔や物語を省き、女性の身体の一部を近くに描く。神話の説明に頼らない裸婦表現を示す作品。
何が描かれているか
白い布の上に横たわる女性の身体を、ごく近くから描く。顔や手足の全体は画面の外にあり、腹部、乳房の一部、開いた腿、陰部が見える。背後は暗く、白い布と肌の明るさが強く浮かび上がる。人物の身元や場所を説明する道具はほとんどない。全身を遠くから眺める裸婦とは異なり、身体の一部分が画面を占めている。
作品の見どころ
画面がどこで身体を区切っているかに注目したい。顔を含めない構図は、肖像の表情や神話の人物名を手がかりにする見方を難しくする。一方、肌の色の変化や白い布のひだは、油彩の丁寧な描写を見せる。題名からひとつの意味へ急いで結び付けず、何を描き、何を画面の外に置いたかを確かめると、構図の特異さが分かる。
制作背景
1866年作で、最初の所有者は収集家で外交官のハリル・ベイだった。のちに精神分析家ジャック・ラカンの所蔵を経て、1995年にオルセーへ入った。長く私的な場所で見られてきた作品である。裸婦を神話や寓話の登場人物として説明する慣習から離れ、身体そのものを主題にした点が、クールベを理解するうえで重要になる。
出典・画像について
画像:ギュスターヴ・クールベ《世界の起源》/Gustave Courbet / Wikimedia Commons(平面作品の複製)
Commons個別ファイルのPublic domain表示に基づく忠実な平面複製。 額縁・撮影余白のみ表示上で除外。画像全体も切り替えて閲覧できます。
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