木にもたれ、目を閉じる自画像。後年の描き直しで、恋人の姿が剣と胸の傷へ変わった。
何が描かれているか
長い髪のクールベが木にもたれ、目を閉じて横たわる。白いシャツの胸には血の跡があり、そばに剣が置かれている。黒い外套が身体を包み、背後の木や葉とつながる。顔は明るいが、周囲は茶色と緑の深い陰に沈む。傷を受けた場面そのものではなく、その後の静かな姿を近くから見せる構図である。
作品の見どころ
苦痛の叫びではなく、目を閉じた顔の静けさに注目したい。胸の小さな赤い部分が、白い布の上で際立つ。外套や木の暗さが身体を支え、顔の柔らかな明るさを引き出している。傷と剣は物語を感じさせるが、実際の決闘を記録した絵とは限らない。自画像を使って、傷ついた人物の役を作る描き方として見られる。
制作背景
1844年に描き始め、1854年に改作された作品。オルセーの解説によると、初めは女性が画家の肩に寄り添っていた。恋愛関係が終わった後、女性を剣に替え、胸の血を加えた。現在見える姿は一度に完成したものではない。若い画家の自己表現と、その後の描き直しが重なった自画像として位置付けられる。
出典・画像について
画像:ギュスターヴ・クールベ《傷ついた男》/Gustave Courbet / Wikimedia Commons(平面作品の複製)
Commons個別ファイルのPublic domain表示に基づく忠実な平面複製。
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