組み合う二人の身体を、観客の前に大きく置く。背後にパリの競馬場を描いた1853年の作品。
何が描かれているか
上半身を裸にした二人の男が、芝生の上で組み合っている。片方は相手の身体に腕を回し、もう片方は脚を広げて踏ん張る。赤い布や暗い衣服が肌の色と対比する。背後には競馬場の観客席があり、さらに遠くに凱旋門が見える。試合を見守る群衆は小さく、手前の筋肉と身体の重なりが画面の中心を占める。
作品の見どころ
勝者を予想するより、二人が互いを押し返す姿勢を見たい。肩、背中、脚が力を受け止め、足元の影が人物を地面につなぐ。大きな身体は遠くの観客席ではなく、絵を見る私たちの近くへ向けられているように感じられる。人物の輪郭と、背後の木や草の描き方を比べると、身体の量感がいっそうはっきりする。
制作背景
1853年のサロンへ《水浴する女たち》とともに出品された。舞台はパリの競馬場周辺で、日常の競技を大きな人物画として扱っている。所蔵館の解説は、激しい動きを追うことより、人体の構造や力の釣り合いを描く点に注目する。庶民の生活を主題にした画家が、身体そのものの存在感へ取り組んだ作品である。
出典・画像について
画像:ギュスターヴ・クールベ《レスリングをする男たち》/Gustave Courbet / Wikimedia Commons(平面作品の複製)
Commons個別ファイルのPublic domain表示に基づく忠実な平面複製。
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