聖カタリナの殉教の祭壇画(中央板)
画家 ルーカス・クラーナハ(父) →Altarpiece with the Martyrdom of St Catharine (central panel) / ドレスデン国立美術館・アルテ・マイスター絵画館
静かにひざまずく聖人と、周囲で倒れる人々を見比べる。
何が描かれているか
華やかな衣を着た聖カタリナが、手を合わせてひざまずいている。背後の男は剣を抜こうとし、周囲の人々は重なり合って倒れる。空からは火が降り、右端では刑具の車輪が砕けている。
これは聖人伝に語られる殉教の場面だ。カタリナを車輪で処刑しようとした企てが祈りによって破られ、その後の斬首へ進む物語が、一枚の絵の中に組み合わされている。
作品の見どころ
中央の聖人は静かな姿勢を保ち、周囲の身体は激しくねじれる。同じ場面の中で落ち着きと混乱を対照させることで、カタリナの姿に目が戻るようにつくられている。
暗い雲から手前の人物へ、さらに遠くの城や水辺へと視線を動かしたい。近くの密集した身体と、広く続く風景の違いが、出来事の激しさと空間の広がりを同時に伝える。
制作背景
板の下端に「L 1506 C」の記号と年があり、1506年の制作とされる。ザクセン選帝侯フリードリヒ賢明公のための仕事で、ヴィッテンベルクの城教会に置かれた祭壇画だった。
ここに掲載するのは三連祭壇画の中央板全体で、左右の翼を含む全体像ではない。後年の《律法と恩寵》と比べると、宗教改革以前の聖人伝の題材にも取り組んだことが分かる。
資料の留保
掲載は中央板。翼の表裏や後世に分離された部分までを一枚の現存画と扱わない。物語は聖人伝承であり、描写をそのまま歴史上の実見記録とはしない。
作品情報
所蔵
ドレスデン国立美術館・アルテ・マイスター絵画館
位置づけ
初期の祭壇画から、聖人伝と動きのある群像を読む。
出典・画像について
画像:Lucas Cranach the Elder《聖カタリナの殉教の祭壇画(中央板)》/聖カタリナの殉教の祭壇画(中央板) — Lucas Cranach the Elder / Wikimedia Commons
CommonsのPublic Domain表示の忠実複製。 複製の扱いは国・地域で異なります。
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