ヨハネス・クスピニアンの肖像
画家 ルーカス・クラーナハ(父) →Portrait of Johannes Cuspinian / オスカー・ラインハルト・コレクション「アム・レーマーホルツ」
手の中の本から、頭上に広がる風景へ視線を移す。
何が描かれているか
赤い帽子をかぶった男性が、手に本を持って座っている。描かれたのは歴史家ヨハネス・クスピニアン。背後には木や水辺、岩のある風景が広がり、遠くの空にも細かな出来事が描き込まれている。
顔だけを背景から切り離す肖像とは違い、人物と周囲の自然が同じ画面で存在感を持つ。大きな木が頭のそばに立ち、身体の静けさに対して、枝や遠景には動きが感じられる。
作品の見どころ
帽子の赤と衣の暗い色が、明るい顔と手を引き立てる。まず本を支える手を見てから、その上の視線をたどると、人物が何かを考えているような印象が生まれる。
背景の細部は、近くで見ると一つずつ違う形を持つ。ただし鳥や遠くの光景を、決まった意味の暗号として断定する必要はない。顔と風景の大きさや配置を比べるだけでも楽しめる。
制作背景
妻アンナの肖像と対になる二連の作品で、クラーナハの初期の仕事に当たる。二枚を並べると、夫婦の向きや風景のつながりを通して、別々の肖像が組み合わされていることが分かる。
現在はスイスのアム・レーマーホルツに所蔵される。年代には1502年と1502〜1503年の表記があり、ここでは幅を持たせた。後年の細長い裸体画とは異なる初期の表現を見られる。
作品情報
所蔵
オスカー・ラインハルト・コレクション「アム・レーマーホルツ」
位置づけ
宮廷時代より前の肖像と、人物を包む風景を見る。
出典・画像について
画像:Lucas Cranach the Elder《ヨハネス・クスピニアンの肖像》/ヨハネス・クスピニアンの肖像 — Lucas Cranach the Elder / Wikimedia Commons
CommonsのPublic Domain表示の忠実複製。 複製の扱いは国・地域で異なります。
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