何が描かれているか
旧約聖書の女性ユディトが豪華な衣装と帽子を身につけ、片手に剣を持つ。画面下の石の縁には、彼女が倒した敵将ホロフェルネスの首が置かれている。
ユディトは正面近くを向き、表情を大きく崩さない。宝石、鎖、刺繍、羽飾りが顔と手の周囲を埋め、出来事の舞台を古代ではなく同時代の宮廷へ近づける。
作品の見どころ
剣と生首という激しい物語を、豪華な服の女性の静かな半身像へ変える。表情の落ち着きと出来事の残酷さがぶつかり、見る人はどちらを先に受け取るか試される。
衣装の曲線と金の鎖は細かく動く一方、剣の直線と石の水平線が画面を固める。装飾だけを見るのではなく、首、剣、手が作る三角形へ戻ると物語の中心が見える。
制作背景
メトロポリタン美術館は1530年頃、菩提樹板の油彩として所蔵する。クラーナハと工房はこの主題を複数回制作し、宮廷風に装ったユディト像を展開した。
ユディトは敵将を倒して町を救った人物として、勇気や徳の例に用いられた。ただし作品の意味を単純な道徳に限定せず、当時の衣装、肖像形式、物語の衝突も見る必要がある。