何が描かれているか
裸身の泉のニンフが森の地面に横たわり、片腕で頭を支える。そばに弓、矢筒、赤い布が置かれ、木々の間には鹿、手前には鳥が見える。
画面左上のラテン語は、泉を守るニンフが眠っているので休ませてほしい、と見る者へ呼びかける。水は岩の下から流れ、身体の前を細く横切る。
作品の見どころ
古代のニンフを深い森の泉へ置き、弓矢、鳥、鹿、銘文を周囲に散らす。神話を北方の風景として読み替え、見ることそのものを場面へ組み込んでいる。
ニンフは身体を見せながら、銘文では眠りを妨げないよう求める。この矛盾が、鑑賞者の視線を意識させる。細長い身体と横長の風景も同じ方向へ伸びる。
制作背景
ナショナル・ギャラリー(ワシントン)は1537年以後、板に油彩として所蔵する。作品の画像は同館のオープンアクセスで公開されている。
泉のニンフと警告文は古代文学に由来するが、森、鹿、鳥はクラーナハの身近な北方風景を思わせる。古代の主題をそのまま再現せず、同時代の宮廷が楽しむ絵へ作り替えた。