何が描かれているか
黒い帽子をかぶった男性が腰から上を見せ、身体と視線を画面右へ向ける。白いシャツの上に赤い肩掛けをまとい、暗い袖を下へ垂らす。
背景は明るい緑一色で、左上に1522年の年記と翼のある蛇の印がある。光は右上から当たり、男性の後ろに淡い影を落とす。
作品の見どころ
緑、赤、黒の大きな色面が人物を包み、横を向く目だけが外へ動く。簡潔な背景でも、顔と服の材質が強く残り、人物の静かな集中が感じられる。
帽子と肩掛けが画面の端近くまで広がるため、人物は狭い枠を満たす。緑の余白は小さいが、輪郭の外に空間を作り、横向きの視線が画面外へ続く。
制作背景
ナショナル・ギャラリー(ワシントン)は1522年作、板に油彩として所蔵する。画面の年記と翼のある蛇は、クラーナハの工房を示す重要な印である。
描かれた男性の名は分かっていない。服装や表情から性格や職業を断定せず、色の配置、光、視線によって、一人の人物を記憶に残る像へまとめた方法を見る。小道具を置かないことも、顔の向きを強めている。