何が描かれているか
幼い少年が黒い背景の前に立ち、赤い衣、白いシャツ、金色の首飾りを身につける。髪は肩へ広がり、小さな両手が画面下で静かに重なる。
身体はほぼ正面を向くが、目はわずかに横へ動く。子どもの丸い顔と、大きく膨らむ袖や重い装飾が対照をつくる。
作品の見どころ
幼い顔と小さな手に対して、衣装と装身具は大人の地位を示すほど重い。子どもと王侯の役割が一つの像に重なり、個人の年齢と家の身分を同時に伝える。
黒い背景は場所を示さない代わりに、赤、白、金の輪郭をはっきり見せる。布の切れ込み、鎖、髪の線を追うと、装いが人物の周囲にもう一つの形を作っている。
制作背景
ナショナル・ギャラリー(ワシントン)は1517年頃、板に油彩として所蔵する。《ザクセンの王女》と対になる作品で、二人は同じ向きと大きさに整えられている。
少年をザクセンの特定の王子とする説はあるが、同定は確定していない。そのため本サイトでも固有名を与えず、美術館の英題に合わせて《ザクセンの王子》とする。